製作開始日:2016年7月3日
今回はインフレータブルボートを膨らますための超高圧電動ポンプ「BST-12」の分解に挑戦してみようと思う。
このポンプは10年位使用されたもので、以前から高速充填(ブロワー)が使用できず、高圧充填(コンプレッサー)のみで膨らましていようだけど、最近になって高圧充填もできなくなったとの事で預かった。
年数や使用状況を考えるとかなり酷使されているポンプなんだけど、私は壊れたものを分解して中身を見てみるのは大好きな人間なので、楽しみだ。
準備するものはプラスドライバーと長いマイナスドライバー、あとはビールだ。
akaさん、ごちそうさまです。
それでは作業開始。
まず最初に、ビールを注ぎます(笑)。
不具合状況:高速充填(ブロワー)は以前から動作せず、高圧充填(コンプレッサー)から動作が始まるポンプだったけど、最近になって高圧充填の作動音はするんだけど空気が出てこない
まずはバッグからポンプ本体を取り出します。
あー、やっぱりバッグのチャックは動かなくなって壊れるんだねー。
バッグから取り出した電動ポンプ。
ONボタンは押す部分が壊れていて、取り除かれています。やっぱりみんな同じなんですねー。
カバーのビスを取って上カバーを外します。
カバーの外し方が分からない人は、以前書いた記事「BST-12の分解(3)」を見てくださいね。
これが高圧充填(コンプレッサー)用のモーターです。
以前から高圧モードのみでボートを膨らましていたとの事で、ボートを1回膨らますために高圧ポンプはかなりの長時間駆動していたかと思います。
モーター上部にはブラシの摩耗粉と思われる汚れが付着しています。
分解前は作動音がしていたのでモーターが生きているのは確実なんですが、念のため通電テストしてみます。
魚群探知機に使っているバイク用バッテリーを持ってきて通電してみると、正常に回転。
高圧ポンプ側のリレーを強制的に作動させてみても、正常動作。
このポンプ、ここらへんの構造はしっかりしてると思うんだけどね…。
モーターを見るアングルを変えてみると、モーターによって駆動されるギヤ、ピストンなどが見える。
…あれ?
モーターで駆動されるギヤと、ギヤによって駆動されるピストンへ動力をつなぐロッド(コネクティングロッド)の部分が、ちぎれちゃってるよ…。
プラスチックが破損したというよりも、熱で溶けたような感じですね。長時間の連続駆動によるダメージでしょうか。
モーターによって駆動されるギヤとピストンは2つ付いていますが、反対側も同じように、ギヤのプラスチックが溶けるように壊れていました。
この部分を修理するのは難しそうだなー。溶けた部分の対角線上に穴を開ければ固定できそうにも見えますが…。
高圧充填の方は原因が分かったので、今度は高速充填(ブロワー)の方も見てみようと思う。
この黒くて丸い部分が高速充填用の羽が入っている部分なのだ。
ビスを外すと簡単に取れる。
羽の下側には高速充填用のモーターが見える。
羽の部分を開けてみると、こんな感じ。
吐き出している風の量を測るため、吹き出し口には弁のようなものが付いている。
指で押してみると、こんな感じ。
風の量が多いときは弁がこのように開くため、高速充填が継続して行われる。
ボートに空気が入ってくると、空気がボートへ行かなくなるため弁が閉まってきてスイッチが作動し、高圧ポンプに移行するような構造なんだと思う。
弁の裏側には、こんな感じのスイッチが装着されている。
弁の動きに連動して動作する構造で、このスイッチがONしているか、OFFしているかで高圧・低圧の作動切り替えを行っているんだと思う。
なので、このスイッチが故障した場合、高速か高圧の動作しかしなくなる。
このポンプが高圧充填しか動作しなかった原因を探るべく、高速用モーターにバッテリーの12Vを直接掛けてみたが、全く動く気配が無い…。
高速ポンプが動かない原因は、モーター本体の不良みたいですねー。
高速ポンプが外れた状態の本体。
スタートから高圧充填モードで長い期間ボートを膨らまし続けてきた事を考えると、長く使えた方だと思う。
ギヤの偏った部分が破損しているだけなので、破損していない部分を加工してロッドを付け直すのに今度挑戦してみようと思います。ダメだったら部品取り用で保管ですねー。
ポンプ修理の依頼を頂いたおかげで、我が家で眠っていた電動ポンプ「BM-SP2000」が長い眠りから目覚める。
このポンプは去年の4月に中古で買ったもの。買ったときから動作がイマイチ調子が悪かったんだけど、高速充填も高圧充填も生きていたのでいつか出番がくるだろうと放置していた品なのだ。
次回はこのポンプを紹介していこうと思います!