まず,高圧ポンプが故障した場合の選択肢について考えてみます。

1.購入から1年以内の場合は,保証書があれば無償修理可能

もちろん状況によっては保障期間内であってもダメ!という事だってあるだろう。

残念ながら,私のポンプはギリギリでアウト。1年1ヶ月(正確には1年と2週間位)で故障という悲劇。購入したボートは新古艇であったため,購入時には既に保障期間は半年程度経っていた。

つまり,私自身は使用期間は半年程度・・・。最悪!

2.故障したポンプを修理に出す

ネットで調べたら,9千円前後で修理している人が多いようだ。もちろん不具合状況によって,金額は変わる。

修理した後,不具合が再発しなければいいのだが・・・

3.足踏みポンプのみで頑張る!

ゴムボート釣りが嫌いになりそう・・・。だから私は絶対に無理!

4.安いポンプを購入する

電動式の空気入れ

私がローボート時代から使っている電動ポンプはこれだ。

価格は確か3,500円位だったと思う。

安くてお手軽なのだが,このポンプで高圧注入は不可能。

したがって,これだけだと船外機を積むようなパワーボートを膨らます時は,後半は地獄のストンピング(足踏み)となる。

体力を大きく消費するのは後半の高圧注入時。したがって,これだけではキツい。しかしながら,10年位使ってまだ現役なところが評価できる。

5.超高圧ポンプを購入する

快適な釣りをするなら,最も確実な方法。

しかしながら,私のように10回程度で壊れた場合,2万円のポンプなら1回膨らますのに2000円掛かっている計算・・・。問題は,ランニングコストだ。

私のポンプがハズレだったといえばそれまでだが,正直BST-12は,もう買いたくない。買うなら別のものだ。

耐久性を売りにしている商品が出ているので,それがいいと思う。

6.BST-12を自分で分解して復活させる

部品の一般販売はないようなので完全復活は難しいが,前述したように「高速モード」と「高圧モード」は空気の吐出部分以外は 完全に別系統になっているため,「どちらか片方のモード専用」に復活させる事ができる場合がある。

ヤフオクでジャンク品が出ていれば合体させて完全復活させられるかもしれないが,煙が出たりした物を出品する人はいないだろう。

私のポンプは自分で分解して壊れた部分だけを取り除いたため「高圧モード」だけ動作する状態に復活し,現在は

電動式の空気入れ

← 最初はコレで膨らまし,

超高圧電動ポンプBST-12

← 後半はコレ(高圧モードしか動かないBST-12)で仕上げている。

時間は掛かるが,全く足踏みしないで完成させることができる。出費もゼロだった。

それでは分解してみよう。

残念ながら,「高速モード」の部品は2年以上前に撤去してしまい写真を撮っていなかったため「高圧モード専用」のポンプ分解となります。

また,「高速モード中にポンプ本体から異臭・煙などが発生した」というケースの話で書いていきます。

警告!電気機器のため,場合によっては分解中に火傷や感電など,作業ミスにより使用中に火災などが発生する危険性があります。分解・修理は自己責任で実施してください。当サイトでは,責任は一切負えません。

超高圧電動ポンプ:BST-12

BST-12。正常に動作しているときは快適そのもの!画期的な商品だ。

しかしながら短命で

終わる場合があり,ネットでも多く取り上げられている。

そもそもモーターという物は,負荷が大きくなるほど電流が多く流れてしまう特性を持った構造のものが多い。

したがって,「高速モード」の後半(高圧モードに切り替わる直前)はモーターにかなりの電流が流れていることだろう。

だから,何らかの理由で「高圧モード」への移行が遅れてしまうと,一発でモーターに大ダメージ(コイルなどが焼ける)となってしまうのではないかと思う。

個人的には,分解してみて「高圧モード」への切り替え判定をするセンサーの役割をする部品が,やや精度に欠ける構造のように感じた。

すぐに壊れたから,そう思ってしまうだけかもしれないが。

BST-12を専用バックから出した状態

バッグから本体を取り出すと,こんな感じだ。

BST-12本体に付いているネジの位置

本体を分解するのには外す必要はないのだが,中身を説明するために外す。

矢印の2本ビスだ。

BST-12の空気通路部分を外した

こんな感じで,空気の通路の一部が外れるだけ。

本体の分解とは,直接関係は無い。

ポンプ本体を開けるためのビスの位置

続いて,矢印の4本を外す。

全て同じ長さ・サイズのネジだ。

外したビス

本体を開けるだけなら,ネジはこれだけ。

プラスチックに締め付けしているので,組み付け時に締めすぎると本体が割れる。

気をつけよう。

BST-12の本体カバーを外す

もう本体のカバーが外れる。

開ける時に,空気の吐出部が少し引っかかるので,写真のようにカバーの左側を上げてから右にずらして外すと良いだろう。

本体カバーが外れて中身が見える状態

カバーが外れた。

高速モードの部品は撤去してあるので,高圧モードの部品しかない状態だ。

初めて分解するポンプは,高速モードのモーターなどが写真左側の空きスペースに入っている。

ちなみに,私のポンプはモーター内のコイルが焼けてしまっていた。

モーターは修理不可能と判断して,摘出手術を行った。

BST-12の内部構造

まずは基本構造を覚えよう。写真奥に高圧モード専用のモーターがある。

高速モード用のモーターは撤去してあるため付いていない。

写真手前側は空気の吐出部分になっていて,高速モードの空気は,写真左側から右側へ出てくる構造だ。

吐出用の黒いタンクのような部品の下部を見てみると・・・・・・。

BST-12の空気通路

高圧モード時の空気をタンクへ導く通路がある。

高圧モードでは2箇所にコンプレッサーがあり,それぞれ圧縮した空気を1箇所にまとめて吐出している。

BST-12のコンプレッサー部分

今度は高圧モーター付近を見てみよう。

高圧モーターには小さいピニオンギヤが付いている。モーターが回転するとピニオンギヤが,噛み合っている2つの大ギヤを回転させる構造だ。

ネットの情報によると,このギヤが樹脂製のため割れてしまうトラブルもあるらしい。

次に,大ギヤ付近を拡大してみる。

BST-12のコンプレッサー(ピストン部)

大ギヤが回転すると,ギヤに取り付けされているロッドが,回転しながら上下に往復運動する。

ここらへんは,エンジンと同じような構造だ。このロッドはエンジンに例えると,「コネクティング・ロッド」に該当する。

エンジンの場合はロッドの両端は可動部のためオイルで潤滑しているが,このポンプは無給油式のようだ。

まあ,潤滑する構造にするのは難しいだろうけど,長時間の使用を考えると少し不安だ・・・。

BST-12のコンプレッサー用ピストン

ロッドが上下すると,ロッドの先端に取り付けされているピストンが,往復運動する。車やバイクのエンジンとほぼ同じだ。

このピストンが空気を圧縮し,高圧空気を作っている。

ピストンは2つ取り付けされているので,2気筒エンジンのようなものだ。

このピストンが上下する時に,独特の大きな作動音が発生している。

コンプレッサーを横から見た

エンジンのような部分を横から見たところ。

シリンダーはプラスチック製のようだ。シリンダーの写真右側に,空気の吸入・吐出部がある。

矢印の赤が吸入部,青が吐出部,そして黄色が高速モーターからの吐出部が接続される部分だ。

シリンダーはピストンとシリンダーの間で結構な摩擦があると思うが,ここも油脂による潤滑はしていないようだ。まあ,油脂潤滑は構造上,難しいだろう。

とりあえず私のポンプは高圧モード専用機で,かなり酷使しているが今のところトラブルは無い。

BST-12の空気を吸入する部分

次に,吸入部の構造を見てみよう。これが吸入部のバルブ部分だ。

いわゆる「リードバルブ」と呼ばれる構造。

灯油のハンドポンプ内にあるバルブと似たようなもので,シリンダー内が負圧になると勝手に開き,シリンダー内の圧力が上がると勝手に閉じる。

ちょっと押してみよう。

リードバルブを押してみる

プラスドライバーで押してみた。

吸入する時は,こんな感じでバルブが開いて空気がシリンダーへと入ってくるようだ。

バルブが壊れてしまうといけないので,マネしないほうが良いと思います。

BST-12のリレー部

高圧モーターの近くにあるコイルが巻かれた部品は,リレーと呼ばれるものだ。

コイルに電気を流すと電磁石になり,すぐ横にあるスイッチを引きつけて,磁力でONにする。

2つ付いているが,高速モーター用と高圧モーター用だ。

どちらが高圧用かは忘れた。また今度検証する。

リレーの接点を押して強制駆動させる

ちなみに,このリレーのスイッチ部分を手で押して強制的にONさせると,ポンプを作動させることができる。

こうする事で高圧モードのリレーか高速モードのリレーかを判定する事ができるのだが,モーターが突然動いたり通電時に電気的な危険を伴うため,電気の知識&メカの知識に自信がない人は,やらない方がいい。

リレー周辺の配線

リレーの横には,配線が刺さっている。

端子が4つあるのだが,高圧モード専用にした時に,矢印部の配線を取り除いた記憶がある。

ここに,高速モードの配線が刺さっていたはずだ。

ギボシになっているので,引っぱればすぐに外す事ができる。

BST-12のON・OFFスイッチ

本体のON・OFFボタンだ。

白い部分が押されると作動する。

ON・OFFボタンのカバー

本体外側のボタンは,こんな感じだが,裏側を見てみると・・・。

スイッチカバーはプラスチック製

このように,本体のプラスチック部が切り取られてスイッチを形成している。

矢印部で,内部のスイッチを押す構造だ。

強く押したりして壊れてしまった場合,この部分を切り抜けば直接内部のスイッチを押せるようになると思う。

ブロワーとコンプレッサーを切り替え判定するセンサーが付いていた場所

高速モードから高圧モードに切り替える判定はセンサー(スイッチ)で行っているが,確か写真の黄色部付近だったと思う。

よく覚えていないので,間違っていたらお許し下さい。

確か,高速モーターと吐出用タンクの間にあったはずだ。

動作切り替えの判定をするセンサーの原理

構造は,確かこんな感じだったと思うが,記憶違いの可能性もあるのでご了承下さい。

高速ポンプから来る空気の流量を,直接センサー(スイッチ)で検出していたと思う。

ボートが高圧になると高速モーターからの空気は流れにくくなり,スイッチが閉じる事で高圧モードへ移行する・・・,そんな感じだったと思う。

スイッチはON・OFF判定のみのため,具体的に細かい流量を把握するようなセンサーではなかったと思う。

この切り替え判定は非常に重要で,モーターからの空気が流れなくなってきたときに,速やかに高圧モードに移行しなければ,高速モーターの負荷が大きくなりモーターのコイルに流れる電流が非常に大きくなって,最悪の場合コイルが焼ける。

とりあえず,高圧モード系統の構造はこんな感じだ。何度も書くが,記憶違いがある可能性があるので注意して頂きたい。

私がボートを購入した当時,知人もボートを購入してこのポンプを使用しているが,現在は高速モードの作動にムラが出てきていた。使用回数は20回ちょっと程度だ。

携帯電話やパソコンなんかだと,高温になったり煙が出たりすると新聞に載ってしまう時代。

2万円以上もする高額商品なだけに,この商品については,ぜひ改良して頂きたいものだ。とても使用方法が原因の故障とは,思えない・・・。

inserted by FC2 system