2010年,某釣り具店主催の2馬力ボート試乗会が土・日の2日間で盛大に開催された。

10:30頃 現地へ向け出発。高速道路を使用して移動。家から40分程度の港だ。11時が過ぎ,試乗会は順番待ちなどで時間がかかると予想。吉牛の並盛を食べてから参加。船酔いを全くしない私にとっては,乗船直前の食事は全く問題ない。

試乗会に準備されたのは,ホンダ・スズキ・トーハツ・マーキュリー製2馬力船外機を搭載したボートが各1艇,そしてトーハツ製の6馬力船外機を搭載したボートが1艇。計5艇だ。その他,受付付近に2艇,陸上展示されていた。結構本格的だ。

ボートは全てアキレス社製のインフレータブルボートであった。

私が1999年に初めて購入した,手漕ぎのローボートはアキレス製。当時ゴムボートといえばアキレスが有名でジョイクラフトはあまり普及している感じがしなかったが,現在は五分五分といったところだろうか。

個人的にはボートというより船外機の方に興味があった。ホンダは空冷エンジンと遠心クラッチを採用,マーキュリーは2ストロークエンジン,トーハツは排気量が大きいなど,同じ2馬力でありながらメーカーによって特色がある。また,6馬力船外機の能力も興味深い。

全て試乗してきたので,ここに感想を書いてみたいと思う。

なお,今回のイベントを開催した団体の営業上の問題などもあると思われるため,社名や価格,店員のコメントなどは伏せておこう。また,今回写真の撮影はできなかった。

試乗会であるためボートの空気圧や船外機の取り付け角度などがきちんと調整されているであろうと思うため,それを前提として評価してみる。


アキレスBR-297DR + スズキ2馬力

このエンジンは,今所有しているヤマハ2馬力がダメになったときの,次期候補としていたエンジン。重量がホンダの船外機とほぼ同じ13kg台でありながらエンジンは水冷,クラッチ付き。

正直,腰痛持ちの私には船外機は少しでも軽い方がいい。現在使っているヤマハが17kg台,約4kg軽いのは非常にありがたい。

使ってみて,外観はヤマハ2馬力より結構スリムな感じであった。また,クラッチ・レバーがヤマハと比べて安っぽい感じで,強度的に少し不安を感じた。

エンジンの調子は良かった。始動性・加速性・トップスピードも申し分ない。エンジン音はヤマハと同じ位に感じた。

総合評価

この船外機はヤマハとホンダのいいとこ取りといった印象だ。ヤマハの軽量版といった感じで,結構気に入った。

やはりこの船外機は次期購入の候補になった。


PV-300VLT + マーキュリー2馬力(2ストローク)

正直今回のイベントで一番期待していた2馬力船外機は,マーキュリー2馬力。

2馬力船外機は いろんなメーカーがあったが,トップスピードに大きい差は無いだろうと思っていた。しかしながらマーキュリーだけは2ストロークだったので,フィーリングが大きく違うであろうと予想していた。

実際,バイクでは2ストロークと4ストロークでは同じ排気量・馬力でもフィーリングは随分違う。私がバイクに乗っていた頃は,軽量でレスポンスが良い2ストロークが大好きだったからだ。

しかしながら今回のイベントで,一番残念な結果となってしまった。エンジンが調子悪い! 他の4ストエンジンと比べて明らかにトップスピードが悪く,とても2馬力出ているとは思えない。加速感も完全に4ストロークモデルより劣っていた。

良かったところ

エンジン外観は,非常にコンパクト。さすが2スト。

今回はエンジンの調子が悪かったが,加速能力は4ストロークより優れているだろう。

悪かったところ

致命的に感じたのは,アクセル操作の方法。他のモデルはバイクと同じ,スロットル操作(グリップを回す方法)なのに関わらず,このモデルだけトップカウルに付いているレバーを操作するという方法。グリップ部はハンドル操作のみ行う。正直これは使いづらかった。

アクセルとハンドルを同時に操作するには,両手が必要だ。

ロックフィッシュ釣りの場合,大型の魚が掛かると根に潜ろうとするため,片手にロッドを持ちながら船外機を操作してボートの体制を整えたりすることがあるが,この船外機では不可能だと感じた。

2サイクルなので,エンジンの潤滑がガソリンにオイルを混合するという方法である点。混合したガソリンが余った場合,処分に困る。頻繁に釣りに行く人は問題ないだろう。

ロックフィッシュ釣りのようにエンジンをアイドリング状態で掛けっぱなしにする場合,2サイクルは燃焼が不安定になりやすく,不安を感じる。4サイクルよりプラグがかぶりやすいだろう。カレイ釣りのような移動→停止の釣りには問題ないだろうが。

総合評価

私は2馬力船外機なら4ストロークをお勧めする。

2ストは軽いといっても,スズキとホンダの4ストは,ほぼマーキュリー2ストと同じ重量。4ストの方が加速性能が劣っていたとしても,トップスピードが遅い2馬力では全開走行が多くアクセルのON・OFFは少ないため,あまり気にならないだろう。

また,4ストはガソリンにオイルを混合する事もなく,燃焼も安定するため安心感が高い。

という事で,私の購入対称からは外れた。


FMI-315 + トーハツ6馬力

この組み合わせだけ船外機が6馬力であった。このイベントで6馬力が準備されているのは知っていたので,2馬力船外機との差を比べてみたかった。

さすが6馬力,全然違う!ボートの前部はかなり上がって,どんどん移動できる!

良い所

2馬力船外機と比べると,やはり圧倒的なパワー差。

悪い所

船舶免許を持っていない人には初期コストが高い。

船舶免許は本来持っていて当たり前の事なのだが,2馬力が免許不要艇として普及してきた事で,あえて悪い所とした。2馬力でも免許を持っているのが理想だが。

また,船検も必要。これも免許と同じ。あるのが理想・当たり前だが,2馬力艇と比べた場合の手軽さだけを考えた場合の評価。

燃料タンクが別体であるため(これが普通なのだが),狭いボートの中では邪魔に感じた。

重量。これは私にとって致命的。腰痛持ちだからだ。とても自己管理できる領域ではない。私が買うなら,2馬力を超える船外機なら絶対2ストロークだ。4ストは重過ぎる。

インフレータブルボートの場合は後部が重くなると走行時に前部が上がりすぎてしまい効率が悪い。今回,それを強く感じた。前に荷物を積んだりすると改善するだろうか?

総合評価

2馬力と比べると圧倒的な速度差だが,私が想像していたほどではなかった。私は免許を持っておらず,しかも腰痛持ちであるため,現在は購入の対象にはならないだろう。

息子が大きくなったら2スト10馬力位が欲しいなあ・・・。息子に運んでもらって。

2馬力からのステップアップで免許&船検が必要なボートセットを買うなら,もっとスピードが欲しいと感じました。


LFI-295DX + ホンダ2馬力

この船外機は他の2馬力船外機とは大きく違う箇所がある。

一つは「遠心クラッチ」。通常はレバーで「ニュートラル」「ドライブ(走行)」を切り替えるのに対して,ホンダはアクセルを回すとエンジン回転数が上がり,同時にクラッチが自動でつながる。したがって,切替レバー(クラッチ・レバー)が存在しない。

もう一つは「空冷エンジン」。通常の船外機は海水をエンジンに取り込んで冷却する「水冷エンジン」であるのに対し,この機種だけ空気で冷却する「空冷(強制空冷)」だ。

私がヤマハ2馬力船外機を買った時,最後まで検討していた船外機がこれだ。当時あるボート販売店で,ホンダ2馬力についてこんな事を言われた。

  • 空冷なので冷却系統の洗浄作業(フラッシング)が不要で楽。
  • 空冷なのでエンジン音が高い。
  • 遠心クラッチなので,アイドリング時もプロペラは回っている。
  • プロペラがプラスチック製で動力伝達能力が若干悪い(ヤマハはアルミ製)。
  • 排気ガスが,風向きによっては顔面に来る。価格はヤマハ2馬力より,1万円位安い。

この店員は,ヤマハの方を勧めていた。

試乗してみて最初に感じたのは外観。軽量のモデルだけあって,かなりスリムだ。ヤマハより高級感・剛性感は劣るが,軽量なので許せる範囲だ。船外機をボートに固定するクランプの部分が,ヤマハより弱そうに感じた。

エンジン性能は良好だ。排気量が一番小さいモデルになるが,高回転まできちんと回るエンジンで,力不足は感じなかった。トップスピードも悪くない。さすがホンダだ。

エンジン音は,やはりうるさい。昔 ホンダの空冷のバイクに乗った事があるが,まさに空冷サウンドだと感じた。アクセルを全開にすると会話が困難で,魚群探知機(HE-51C)のフィッシュアラームは聞こえない可能性が高い。私のヤマハ2馬力でも全開時にフィッシュアラームを聞くのは,ギリギリだ。

他のモデルも快適に会話できるという訳ではないが,ホンダは特に音が大きいと感じた。

遠心クラッチについて

これは好みの問題だと思う。以前ボートショップの店員は「アイドリングでもプロペラは回っている」と言っていたので水中を見てみたら,プロペラは停止していた。そして今回の店員(別の店です)は,「アイドリング時はプロペラは停止する」と言っている。

プロペラを回すにはエンジン回転を上げることが必要で,アイドリングでの移動ができないのがマイナス評価だが,良く言えばアクセルだけで動力のON・OFFができるという事。

エレキモーターの「ハンドコン」と同じ要領で操作できる。これはロックフィッシュでは使いやすいだろう。

ただし,この船外機だけアイドリングで移動する事ができない(回転を上げないと動力が伝わらないため)ので,他のモデルから買い換えた場合は操作に慣れが必要だ。

ホンダから他のモデルに替えた場合も,違和感を感じるかもしれない。

総合評価

重量が軽くて冷却系統の洗浄作業である「フラッシング」が不要であるのは非常に魅力的。メカに弱い人や,初めて船外機を購入する人にとってはメリットが大きいであろう。

しかしながら,エンジン周りを冷却水が覆っていないためエンジン音が大きく(これはバイクでも車でも同じ),ロックフィッシュのようなアイドリングで掛けっぱなしにして釣りをする場合や,真夏の低速走行では風(空気)の供給が不足気味になり「熱ダレ」を起こさないか少し心配。

特に今年のような猛暑日が多い時の釣りでは不安を感じる。「強制空冷」なので問題無いかもしれないが。

ホンダはスーパーカブという伝説の名車(バイク)を作ったメーカー。小排気量の空冷&遠心クラッチは得意分野なので問題ないと思うが,エンジン音でマイナス。


LWI-300 + トーハツ2馬力

このエンジンは非常に印象が良かった。2馬力船外機のなかでは1番排気量が大きく,余裕を感じた。

エンジン音が一番低く感じ,振動も少なかった。

エンジンも非常に安定しており,安心感がある。

良い所

大柄ではあるが,各部がしっかり作られている印象で,圧倒的な剛性感・高級感・安心感があった。

悪い所

船外機の重量が18.4kg。私が所有しているヤマハより重い。造りがしっかりしている分,仕方ないか。

グリップ部が太い。もうちょっと細い方が使い易いのではないかと感じた。

総合評価

正直2馬力船外機ではこれが一番と感じたが,やはり重量が痛い。ヤマハより重いということで,腰痛持ちの私はパスだ。

しかしながら,健康で体力に自信がある人には,私はこの船外機をお勧めするだろう。


あとがき

本当は同じボートに各メーカーの船外機を交換しながら乗り比べてみたかったが,各メーカーの船外機は全て違うボートに装着されていたためボートとのマッチング問題があると思われる。また,船外機は少し使い込んだものであったため,新品の性能ではなかっただろう。

2馬力船外機は車のようなスピードメーターがあるわけではないため,全て感覚による比較だ。私の個人的な好みなども影響していただろう。

最後にマーキュリー製エンジンの調子が悪かった点は非常に残念であったが,暑い中親切丁寧にアドバイスをくれた開催者に感謝。この場を借りてお礼申し上げます。

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