注意! ここで紹介している内容は当サイト管理人が独自に考えたものであり,全て正しい記述であるとは限りません!
このコンテンツを参考にした結果による,いかなる事態にも責任は負えません!
不適切な内容がありましたら,トップページ一番下のメールフォームでご指導願いますm(__)m

レベルワインダーの構造を理解するために分解した'05メタニウムXT

今回はレベルワインダーの構造について考えてみよう。

以前から「レベルワインダー」「動かない」というキーワードで検索してから当サイトを訪れる方が多い事が気になっていた。

たぶんハンドルを回してもレベルワインダーが動かなくなってしまったのではないかと思うが,このページで解決できる人が増えればいいなぁ,と思って書いていこうと思う。

今回使うリールは,レベルワインダー周辺の部品を見やすくするためにサイボーグ化した「シマノ:'05 メタニウムXT」だ。

ハンドルからレベルワインダーへ向かうギヤ周辺まで

ハンドル側から見てみると,こんな感じ。

ハンドルからシャフトを通って一番奥のあたりに,白い樹脂性のギヤが2枚ある。

ちょっと拡大してみよう。

レベルワインダーを動かすためのギヤ周辺

部品名称はこのリールのメーカー「シマノ」が製作した分解図を参照して記入した。

ハンドルを回転させたときの動力伝達は,「ハンドル」 → 「メインギヤ軸」 → 「クロスギヤA」と伝わっていく。この3つの部品は直結状態で組み付けされているため,ハンドルを1回転させると「クロスギヤA」も必ず連動して1回転する。

クロスギヤの回転方向とギヤ比

「クロスギヤA」が回転すると,噛み合っている「クロスギC」が,反対方向に回転する。

ギヤの歯数を数えてみたら,クロスギヤの「A」が29歯,「C」は19歯だったので,ギヤCはAの約1.5倍の速度に増速されて回転している事になる。

2つのギヤの歯数は割り切れないようになっているので,歯の接触位置がずれていきながら駆動する事で,歯の偏摩耗が軽減されるようになっている。

ハンドルからレベルワインダーまでの経路

リール本体を外してレベルワインダーまでの経路だけにすると,こんな感じ。

もう少しアップにしてみよう。

レベルワインダー周辺の拡大写真

こんな感じになる。

撮影の都合上,一つだけ余計な部品がある。

ハンドルからクロスギヤ軸まで

ハンドルを回すと,ギヤA → ギヤC → クロスギヤ軸へと動力が伝わって,クロスギヤ軸はハンドルの約1.5倍の速度で回転する。

そしてクロスギヤ軸には溝が切ってあって・・・

クロスギヤ軸に沿ってレベルワインドが動く

レベルワインドは,この溝に沿って左右に動くように作られている。

レベルワインドの,クロスギヤ軸が入る部分は丸い

ところがレベルワインドを横から見てみると,丸い穴が開いているだけ。

これだけだったらハンドルを回しても,レベルワインドは左右には動きませんね。

レベルワインドの中には何か入っている

レベルワインドが動く秘密は,穴の横にある部分に隠されている。

ちょっと分解してみよう。

レベルワインドの中に入っているもの

中から出てきた部品。

「クロスギヤピン」が,レベルワインドを左右に動かすための決定的な部品。

座金は「クロスギヤピン」の位置を微調整するためのもので製品のバラツキを微調整する役割もあるため,同一機種でも入っている枚数が違うことがある。私のリールには2枚入っていた。

「レベルワインド受ケ」はネジになっていて,マイナスドライバーで回すと外すことができる。

クロスギヤピン

「クロスギヤピン」には「クロスギヤ軸」に噛み合う部分があり・・・。

クロスギヤピンがクロスギヤ軸に噛み合っている

こんな感じで「クロスギヤ軸」の溝に入っている。

このため「クロスギヤ軸」が回転するとレールの上を走る電車のように,クロスギヤピンは溝に沿って左右に移動する。

噛み合う深さが浅すぎても深すぎても不具合が発生するため,先ほどの座金で噛み合い深さが調整されているのだ。

クロスギヤ軸が回転するとレベルワインドが左右に動く

このピンがレベルワインド内に組み込まれているから,クロスギヤ軸が回転するとレベルワインドが左右に動くというわけ。

レベルワインダーが動かなくなったときは,ここを締めてみる

最初の話に戻るが,ハンドルを回転させてもレベルワインダーが動かなくなってしまったときのチェックポイントを紹介する。

ハンドルを回転させたとき「クロスギヤ軸」が回転するのにレベルワインドが左右に動かない,という症状がほとんどなのではないかと思うので,その場合は「クロスギヤピン」が「クロスギヤ軸」の溝にうまく噛んでいない可能性が高い。

要するに,左図矢印部の「レベルワインド受ケ」という部品がネジになっていて,ここが緩んでいたりするためにピンの突き出し量が少なくなっていて,溝をトレースできなくなっているという事。

なので,ここを締め付けすれば大半は直るのではないかと思う。

inserted by FC2 system