製作開始日:2015年05月05日
今回は,潮汐表を使った問題について考えてみようと思います。1級小型船舶操縦士の試験で出題される,計算問題です。覚えてしまえば高確率で正解を取れますので頑張りましょう。
まずは,私が受験したときに実際に出題された問題を見てみましょう。
問題:
江差(北海道)における2月25日の潮汐について述べた次の文のうち、正しいものはどれか。ただし、潮汐表によると江差の標準港は小樽で、潮時差は-00h35m、潮高比は1.18、小樽の当日の潮汐は左表のとおりである。
- 午前の高潮時の潮高は、約12センチメートルである。
- 午後の低潮時の潮時は、21時30分である。
- 午後の高潮から次の低潮までの潮差は、8センチメートルである。
- 当日、最も海面が低くなる時の潮高は、-7センチメートルである。
潮汐表の見かた
まず最初に,潮汐表の見かたについて考えていきます。
図の赤丸部分は日付を表しており,今回の場合は要するに「2月25日」を表しています。
続いて,この部分です。
時刻(Time)は「h(アワー:時)」と「m(ミニッツ:分)」に分かれており,赤く囲った部分を考えると,時刻が「03:08(3時8分)」というように読みます。
そしてこの時刻での潮高は「14cm」という事ですね。
あとは同じように読むだけです。
ここは,「10:33 の潮高が-7cm」と読みます。
「-7cm」の「マイナス」は,平均水面(潮汐が無いと考えた時の水面)から7cm低い,という事だと思います。
間違えてたらごめんなさいm(__)m。
同じように,「17:03 のとき,潮高は11cm」
「22:05 のとき,潮高が3cm」
ここまでは,さほど問題無いかと思います。
午前と午後に分けてみる
潮汐表に書かれている4つの時間を考えてみると,このように「午前」と「午後」に分けて考える事ができます。
これが結構重要なのだ。
そして潮高の数値を見てみると上から順に,
大きい数値 → 小さい数値 → 大きい数値 → 小さい数値
と並んでいますね。
これは上から順に,高潮(満潮) → 低潮(干潮) → 高潮(満潮) → 低潮(干潮)
と,潮が動いているって事です。
ここまで潮汐表の見かたが分かれば,あと少しです。頑張ってくださいね。
問題文を振り返ってみると文章の後半に,
「・・・・ただし、潮汐表によると江差の標準港は小樽で、潮時差は-00h35m、潮高比は1.18、小樽の当日の潮汐は左表のとおりである。」
と書かれています。
「江差」の潮汐について考えていくのですが,この潮汐表は「江差」のものではなく,「小樽」のものであるところが最大のポイントなのです。
潮時差を求める
「小樽」の潮汐表を使って「江差」の潮汐を求めていかなければなりません。
まずは問題文の「・・・潮時差は-00h35m」という部分を使って,「小樽」の時間を「江差」の時間に修正していきます。
「-00h35m」は「マイナス0時間35分」という意味で,「小樽」の潮汐表に書かれている時間から35分引いた値が「江差」の時間という事になります。
潮汐表の一番上「03:08」から計算していきましょう。
03:08 から35分を引いた値を求めます。
繰り下がりの引き算になりますので,「1時間」を「60分」に変換して繰り下げ,「02:68」という形にします。
あとは普通に引き算するだけ。「02:33」になりますね!
続いて上から2番目の「10:33」を計算します。
同じように35分引けばOK。また繰り下がりだよ(笑)。1時間を60分にして,繰り下げる・・・。あとは普通に引き算します。
「9:58」になりますね!
続いて「17:03」から35分引きます。
また繰り下がりだぁ~!
「16:28」になりますね!
ラストです。「22:05」から-35分します。
けっきょく最後まで繰り下がりだぁ。
「21:30」になりました!
潮高の計算
続いては,潮高を求めていきます。
「江差」の潮高を求める時は,
標準港(小樽)の潮高 × 潮高比
で求める事ができます。
今回の潮高比は「1.18」ですので,潮汐表の潮高に1.18を掛けていきます。
「小樽」の潮高を「江差」の潮高に修正すると,上から
- 16.52
- -8.26
- 12.98
- 3.54
になりました。
完成した「江差」の潮汐表
計算結果をまとめると,このような潮汐表になるかと思います。
出来上がった「江差」の潮汐表を使って,問題を考えていきます。
「選択肢1」を考える
選択肢1:「午前の高潮時の潮高は、約12センチメートルである。」
「江差」の午前の高潮時は,図の場所になりますね。
小数点以下を四捨五入すると約17cm,切り捨てても約16cmとなり,×になります。
「選択肢2」を考える
選択肢2:午後の低潮時の潮時は、21時30分である。
4つの時刻のうち下の2つが「午後」となっており,そのうち潮高が低い方が「低潮」になりますので,一番下のデータになります。
時刻は「21:30」ですね。
この選択肢が正解になります。
「選択肢3」を考える
選択肢3:午後の高潮から次の低潮までの潮差は、8センチメートルである。
午後の高潮は,潮高「12.98cm」
次の低潮は,潮高「3.54cm」
差を求めると,
12.98 - 3.54 = 9.44cm
小数点以下を切り捨てて「約9cm」
小数点第一位を四捨五入して「約10cm」
引き算する前に四捨五入や切捨てを行っていても,「8」にはなりませんね。
よって,不正解になります。
ただし,修正前の潮汐表(標準港:小樽)をそのまま読むとジャスト8cmとなり,正解と勘違いしてしまうので注意しましょう。
「選択肢4」を考える
選択肢4:当日、最も海面が低くなる時の潮高は、-7センチメートルである。
4つある潮高のうち,一番小さい数値が「当日,最も海面が低くなる時の潮高」になりますので,約-8cmですね。
-7ではないので不正解になりますが,修正前の潮汐表(標準港:小樽)をそのまま読むと-7cmとなり,正解と勘違いしてしまうので注意しましょう。
このパターンの問題は,まとめると
- 標準港の潮汐表の時刻を,潮時差分だけ修正する
- 潮高を,潮高 × 潮高比で修正する
- 出来上がった潮汐表をもとに,選択肢を読んで解答する
という流れになります。
私が受験したときの問題は潮時差の数値がマイナスでしたが,マイナスだけでなくプラスの時もあります。そのときは足し算すればOKです。
今回は説明のため全ての時刻と潮高を修正しましたが,慣れれば問題を読んでから解答に必要な部分だけを修正して解く事もできます。ただ,全てを修正してから選択肢を考えた方が分かりやすく,うっかりミスも減るかと思います。