注意! このコンテンツは1級小型船舶免許の学科試験に合格したばかりの,中途半端な知識の管理人が製作しています!管理人独自のやり方等も数多く含まれていると思いますので,勉強がうまくいかなかったり,正しくない知識を身に付けてしまう恐れがありますので,参考程度に留めてください。また,このコンテンツの知識だけでは海図の知識として不十分であるため,必ず専門書やスクールで勉強してください!

製作開始日:2014年11月20日

コンパス図(コンパスローズ)

このページは「海図の問題を覚えよう!~問題の出題傾向」から話が続いています。初めてご覧になる方は「海図の問題を覚えよう!メインメニュー」の一番上からご覧ください。

ここでは「自差・偏差・コンパス誤差」という話について考えていこうと思います。

以前にも書きましたが,コンパス図には外側に「真方位目盛り」があり,内側に「磁針方位目盛り」がありましたね。

「真方位」の 0°は本当の北を表し,「磁針方位」の 0°は「磁石が示す北」を表しています。

コンパス図における,真方位と磁針方位の誤差

磁石が指す北は本当の北を指さず,若干ずれた方向を指します。なので「本当の北」と「磁石が指す北」には誤差が発生するのですが・・・。

ここで問題です!この誤差の事を,何というか覚えていますか?下のボタンを押してみてください!


 

磁針方位が5°ちょっとになると真北(真方位0°)

上のボタンはお使いのブラウザーで「JavaScript」が有効になっていないと動作しません。あとは私の記述が完全素人レベルですので,たぶん環境によっては動作しません(笑)。ちゃんと動くようでしたら,今後はこういったクイズも設置していこうと思います。

きちんと動作しなかった人のために,正解は「偏差」でした。

では,この「偏差」について考えてみましょう。

真方位(外側の目盛り)で0°を「真北」と言いますが,真方位0°のときの磁針方位(内側目盛り)を見てみると,だいたい5°ちょっとのあたりにきていますね。

真方位よりも磁針方位が左(西)にズレている

内側の「磁針方位目盛り」が外側の「真方位目盛り」よりも左側(西側)にズレていますので,この場合の偏差は「偏西誤差」といい,記号は「W」になります。

「W」は「西」という意味ですね。

反対に右側(東側)へズレていれば「編東誤差」と言って記号は「E」になるのですが,日本は必ず編西誤差になります。なので,今後は編東誤差については省略しますね。

真方位と磁針方位のズレ

そして今回の図の場合では,外側の「真方位目盛り」が0°のところで見てみると,内側の磁針方位は5°ちょっとのあたりになっていますね!

という事は,このときの偏差は約5°Wという事になりますね。

偏差の詳細情報が,ここに書いてある

もっと正確な数値を知るために,偏差に関する正確な情報は,磁針方位 0°の線のところに書かれています。左図のところです。

ちょっと大きくして見てみましょう。

コンパス図に書かれた偏差の詳細

この記述は「この場所の偏差は5度40分,西にズレていて,測定したのは2014年,1年間で2分ズレていく」という意味です。

偏差って年数によって,少しずつ変わってくるんですね!

海図に2つ描かれているコンパス図

また,偏差というのは年数だけでなく,測定している場所によっても大きく変わります。

なので海図には複数のコンパス図が描かれている,という事のようですね。

ただし1級小型船舶免許の試験で使う海図については,コンパス図が2つ描かれていても2つとも同じ偏差,つまり全く同じコンパス図になっています。

したがって試験問題を解く時は,どちらのコンパス図を使っても同じ答えが得られますので,気にする必要はありません。

磁針方位0°とコンパスの向きが同じ場合

続いては「自差」というものを考えていきます。

コンパスは磁石が指す北,いわゆる「磁北」を向くようになっているんですが,

鉄が近くにあるとコンパスの指示が狂ってしまう

コンパス自体が磁石で作られているため,鉄が大好きです。

近くに鉄があると,鉄を愛してしまっているコンパスさんは,きちんとした方向を向いてくれませんよね。

磁北よりも近くにある鉄の方が大好きなんです。

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船は鉄が多く使われているため,コンパスは必ずしも磁北を指すとは限りません。図のように,磁北とコンパスの指示にずれが発生する事があります。

このずれの事を「自差」といいます。

先ほど話した「偏差」は場所や年数によって決まってくるのに対し,「自差」というのは船の構造によって変化するので,船ごとに数値が違います。また,船が向いている方向によっても変化するんですね。


今までの話をまとめてみると,結局のところ真方位に対しては「偏差」と「自差」による誤差が発生するという事になりますが,「偏差」と「自差」を合わせた総合の誤差の事を「コンパス誤差」と言います。用語だけでも一緒に覚えてしまいましょう。

時差が5°Wの場合

自差を修正する

「自差」を踏まえないで海図に記入して航海を行った場合,予定通りに進まなくなってしまいますね。なので,自差を修正する方法が1級船舶免許の試験では出題されます。

例えば図のように,磁北に対して西の方向に5°の自差(自差5°W)があったとします。

時差がWの場合の修正方法

コンパスが指す方位を考えてみると,磁北(磁針方位0°)のときは,コンパスは5°を指してしまう,という事ですよね。

磁針方位に対して5°多い数値で測定している事になりますので,コンパスの方位を磁針方位に修正するときは,

コンパスの方位ー自差=磁針方位

という事になります。

時差が5°Eの場合

今度は逆に,東の方向への誤差「編東誤差」があった場合を考えてみます。

時差がEの場合の修正方法

「自差5°E」を修正する場合で考えてみます。

このコンパスで磁北を測定すると,355°になってしまいますね。磁針方位に対して5°少ない値で測定している事になります。なので自差を修正するときは,

コンパスの方位+自差=磁針方位

という事になります。

時差修正は,コンパスのずれがWだとマイナス,Eだとプラス

自差の修正方法をまとめると,コンパスで測定した方位を磁針方位に修正するときは,

自差がWの場合は測定値マイナス自差

自差がEの場合は測定値プラス自差

という事ですね。重要な知識なので必ず覚えましょう。

偏差の拡大図

偏差の修正

次に,内側の磁針方位目盛りで測定した値を,外側の真方位に直す方法について考えていきます。偏差の修正ですね。

細かい数値があると考え方を覚えにくくなるので,このコンパス図での偏差が5°ちょうど,西にズレていたとします。「偏差:5°00’W」ですね。

このときの磁針方位から真方位を求める場合は,

磁針方位 ー 偏差 = 真方位

となります。

例えば測定値が真方位で0°(真北)を求めるときで考えてみると,真方位0°の時は磁針方位が5°になっていますので,磁針方位の5°から偏差の5°を引けば,真方位では0°という事になりますよね。

このように,偏差が西(W)にズレている場合は,磁針方位から偏差を引くと,真方位を求める事ができるという事を覚えておきましょう。

1級船舶免許の問題では自差を修正する問題がほとんどですが,自差の修正と同じ要領なので簡単ですね。覚えておきましょう。

それでは偏差について理解できたら,次の練習問題にチャレンジしてみましょう(海図は使用しません)。

問1:

A船は,浜埼灯台をコンパス方位183°に測定した。このときの浜埼灯台の磁針方位は何度か。ただし,使用したコンパスの自差は4°Wとする。

179°

187°

わかりません

   

 

問2:

A船は,浜埼灯台をコンパス方位312°に測定した。このときの浜埼灯台の磁針方位は何度か。ただし,使用したコンパスの自差は3°Eとする。

309°

315°

312°

   

 

問3:

海図でC灯台とT山のトランシット(重視線)の磁針方位を確認してみたら,246°であった。このトランシットを自船からコンパスで測定したところ,244°であった。このコンパスの自差について,適切なものはどれか。

 

2°W

2°E

偏差

   

 

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