新品のサーモスタットを,お湯に入れてみる。矢印の部分に注目だ。
黒いゴムの部分と銀色のフタのような部分が密着している。
お湯にいれてしばらくすると,こんな感じになった。これは水温が約60℃の時だ。
水の温度が上昇するとバルブ部分(矢印部)が開くことによって道が開き,冷却水(海水)がエンジン各部へと送られて冷やす。
エンジンが冷えているときはバルブが閉じることでエンジン各部への冷却水(海水)の流れが止まり,暖機が促進される。
したがって,ここの開きが悪くなるとオーバーヒートの原因となる。
今度は新品と古い部品でやってみる。
何回かやってみたが,古いサーモスタットは新しいものと比べると,全体的に開度が若干小さかった。
温度の変化に対して動いてはいるので,致命的なトラブルになるような状態ではなかったが。
これは両方とも冷えた状態なのだが,古い方のサーモスタットは冷えた状態でも少し開いたままで,完全に閉まることができなくなっていた。
恐らくサビの影響だと思う。
このような状態だとエンジンの暖機が遅くなってしまい,オーバークールの原因になる。
特に海水が冷たい時期は,暖機が大幅に遅れるだろう。
こんな感じで開閉するバルブの部分に糸を挟んで,水温を徐々に上げていった。
新品のサーモスタットは,約52℃でバルブが開きはじめ,糸が外れて落下した。
古い方は,約60℃で落下した。
古い方は,手でバルブを動かしても少し動きがシブい・・・。
それでは交換作業を始めよう。まずはフタのガスケットを剥がす。
スクレーパーというヘラのような工具で剥がした。
こびりついてはいなかったので,意外と楽勝だった。
写真撮影の都合上スクレーパーの刃が手の方を向いているのだが,この位置関係は危険だ。
アノードをプラスドライバーで外す。
ドライバーがコケて,手に刺さらないように注意。
こんな感じになる。
ネジは恐らくステンレス製でサビは発生していなかったが,汚れがあったので真鍮ブラシで清掃することにした。
アノードは新品に交換だ。
フタの方に残っているガスケットのカスを,オイルストーンで取り除く。
カスが残っていると新品のガスケットを付けた時に段差になり,水漏れが発生しやすくなる。
新品のアノードを取り付けした。
今度はエンジン側だ。
こちらにガスケットのカスはほとんど無かったが,軽くオイルストーンで慣らした。
サーモスタットのフタをつける3本のボルト穴の中に水が入った状態でボルトを組み付けすると,液圧縮によってエンジンが割れたり,ボルトにサビが発生しやすくなる。
エアーで飛ばすといいが,無い場合はなんとかして乾燥させよう。
大きい穴の方にサーモスタットを付ける。
オッケーだ。
小さい穴の方には頑張っても装着不能なので,間違えようが無い。
サーモスタットは上下反対に付けるとフタが閉まらないので,これも間違えようが無い。
ガスケットを乗せる。
この状態だとガスケットは固定されないため,ずれやすいので注意しよう。
フタをボルト3本で固定する。
10mmのボルトは,締めすぎると簡単に折れてしまうので注意だ。
締め加減に慣れていない人が長いメガネレンチなどで締めると危険だ。
特に新品のガスケットが入っている場合はガスケットが圧縮されていく間,どんどん締まっていく感覚になりやすい。
ゴムホースを付ける。
ひどく痛んでいた訳ではないが,このホースは新品に交換した。
ホースの下側を付ける。
正直ここらへんのサビが気になるのだが,今回は見て見ぬふりをしておこう・・・。
こんな感じになる。
本当なら,このような(サーモスタットのフタやホースが見える)状態でエンジンを掛けて水漏れの有無をチェックしておきたいのだが,スターターも燃料タンクも無い状態では無理だ・・・。