警告!!このページはマニュアル等を参照した整備の模範的要領ではなく,自分の行った自己流整備の記録です。船外機の整備ミスは命に関わるという事を忘れずに,できるだけプロに任せる事を強くお勧めします!このサイトを参考にした結果による,いかなる事態にも責任は負えません!

ヤマハ2馬力船外機(F2AMH)純正スパークプラグ

前置きが長くなってしまったが,そろそろメンテナンスだ。プラグの点検ポイントで有名なのは4つある。

  1. 外観点検
  2. 電極部の磨耗
  3. スパーク・ギャップ
  4. 電極付近の焼け具合

順番にやってみようと思う。

スパークプラグの碍子とガスケットの状態を目視点検

1. 外観点検

碍子に少しでも亀裂・損傷がある場合は使用不可。高電圧が簡単に漏電してしまう。

乾燥している時は問題無くても,濡れると漏電しやすくなって,急激に点火しなくなったりする。特に海水はヤバい。少しでも心配な点があれば交換しよう。

交換しない場合は,必ず予備を携帯する。

ガスケットはプラグを締め付けたときに変形しながらつぶれる事で密閉を保つため,プラグを数回脱着すると密閉が保てなくなる場合がある。

まあそんなに急激に漏れてくるなんて事はあまり聞かないが,覚えておくといいだろう。

スパークプラグの電極周辺

2 電極部の磨耗

電極は使用するにつれて,放電や酸化などによって磨耗してくる。

前ページにも書いたように,放電は先の尖った「角」に集中する。したがって,角が丸くなったら火花が飛びにくくなるため交換だ。

海での使用であるため少しでも丸くなってきたと感じるなら,早め交換をした方が確実。目で見てすぐに分かるという事は,かなり磨耗していると思った方が良い。

 

電極の角を目視点検

図の赤丸部分が見るポイント。要するに「角」だ。

私はプラグの予備は常に携帯しており海上で交換できるようにしていたが,3シーズン使用したため交換することにした。

今回外したプラグは調子が悪かった訳ではないので,予備として保管することにした。

特に2サイクルエンジンの場合はエンジン1回転につき1回点火しており(4サイクルは2回転で1回点火),同じ回転数で考えると4サイクルエンジンの2倍点火しているという点と,エンジンオイルも一緒に燃焼しているためプラグに掛かる負担が大きく,一度エンジン不調になるとプラグが次々ダメになる(かぶってしまう)ケースがあるので,予備は多めに持っておくといいだろう。

一度使ったプラグは,調子が良い状態で外した場合は信頼性が高い。

プラグギャップを目視点検

3. スパーク・ギャップ

まずはプラグごとに決められている「ギャップの適正基準値」を確認する。

船外機の取説に書いてあると思うが,分からない人はプラグメーカーのサイトで型式の意味を調べると確認できる。

私のエンジンは,ギャップの基準値は「0.6~0.7mm」だ。

プラグギャップゲージ

基本的にスパーク・ギャップは電極の磨耗によって広がっていくが,よほどの異常現象が発生したり電極に衝撃を与えたりしない限り,ギャップが狭くなる事はない。したがって,

ギャップが基準より広い=磨耗している=交換

となる訳だが,現在のギャップを確認するツールとして「プラグ・ギャップ・ゲージ」という計測ツールがある。

写真のように針金をL字にしたようなものがいくつかあり,微妙にサイズが違っている。針金のサイズ(太さ)は,写真のようにそれぞれ書かれている。

写真左端は,ギャップを調整する工具だ。すべて一体化してある。

プラグギャップゲージでスパークギャップを点検

こんな感じで使う。写真撮影の都合上ゲージの角度が少し変だが,このように電極の間に針金を通過させて使う。

例えば0.7mmの針金を通過させたとき,若干抵抗を感じつつ電極間を通過できれば,スパーク・ギャップは「0.7mm」という事になる。

工具が通過しにくいからといって力任せに強く通過させると,電極が傷むので注意する。

スパークプラグのギャップ調整

ギャップが基準値から外れているが交換の必要は無いと判断できる場合は,このようにして接地電極の曲がり具合を調整してギャップを調整する。

電極が磨耗して丸くなっているのにギャップ調整でごまかすのは危険!

何度も曲げると,電極が金属疲労を起こすため注意する。

しつこいようだが,プラグに不安材料がある場合は新品に交換するのが理想だ。

電極の焼け具合を目視で点検

4.電極付近の焼け具合

プラグの焼け具合はエンジンの調子を把握する,重要な点検だ。

一般に碍子脚部の色などで判断するが,焼け具合はエンジン停止直前の使用状況の影響を強く受けるため,覚えておく必要がある。

例えば全開走行を続けた後に停止した場合はエンジンが高温時の焼け具合となる。

長時間アイドリングを続けて停止した場合はエンジンが低温時の焼け具合となり,くすぶり気味になっている事が多い。

これは使用方法の問題であり,あたりまえだ。

今回の私のプラグは非力な2馬力エンジンのため全開走行が多く,綺麗に焼けていた。

焼け具合の判定については,プラグメーカー「DENSO」のサイトが分かりやすいと思う。

トップページにしかリンクできない規約であったので,移動したら右側の画像「DENSO SPARK PLUGS」をクリックして,「プラグの基礎知識」 → 「不具合の診断方法」へ進むと,焼け具合別の説明が載っている。

プラグメーカー「NGK」プラグスタジオの場合は,「商品情報」 → 「プラグの基礎知識」または「プラグの症状例一覧」へと進む。

スパークプラグの電極をワイヤーブラシで清掃

プラグにはカーボンが付着している事が多い。

カーボンは電気を通すため,これが原因で火花が飛びにくくなるため清掃する。特に2サイクルエンジンはオイルも燃やしているためカーボンが付着しやすく,こまめに点検・清掃したい。

家ではワイヤーブラシなどで清掃する事が多いが,バイク屋や自動車整備工場には「プラグクリーナー」と呼ばれる清掃機器がある。空気の圧力で砂のようなものを電極に吹き付けて清掃する機器だ。

行きつけの店へ車のオイル交換などに行ったとき,ついでにプラグを持っていけば1個くらいは無料・格安でやってくれたりする。非常に綺麗になるのでお勧めの作戦だ。

今回は,ワイヤーブラシで清掃する。

清掃後のスパークプラグ

ワイヤーブラシだと奥の方まで清掃するのは難しいが,まあまあ綺麗になった。

清掃後は電極に汚れが付着しているため,必ずエアーダスターやパーツクリーナーなどで汚れを落としてから組み付けする。

パーツクリーナーは速乾タイプがおすすめだ。

ねじ山やプラグとガスケットの間なども,しっかりと清掃しておく。

エンジンのスパークプラグ取り付け面

組み付け時は,エンジン側のプラグ取り付け面を清掃してからプラグを装着する。

汚れをエンジン内部に入れてしまわないように慎重に清掃する。

プラグをエンジンに取り付け

プラグを取り付けする。取り付け時に電極部をぶつけるとスパークギャップが変わってしまうので注意する。

また,ネジ部にオイル等は塗らないこと。締めすぎになりやすい。

最初からレンチを使って取り付けすると,ネジをナメやすい。ネジをナメてしまったらエンジン本体が損傷してしまうので,このようにソケットを使用しながら手で入れていくと良い。

このやり方でプラグが付かない(途中で回せなくなる)という事は,ネジ部が汚れているか痛んでいる可能性が高い。

くれぐれも,無理矢理締め込んでいかないこと。

スパークプラグを工具で締め付け

スパークプラグを締め付け。本来は「トルクレンチ」という工具を使って正確な力で締め付けするが,今回は使用していない。

この船外機の取り扱い説明書には,「新品のプラグを付ける場合,指でいっぱいに締め込んだ後,プラグレンチを使用して1/4 ~ 1/2 回転締め込み,できるだけ早い時期にトルクレンチで締めること」と書かれている。

プラグは本来,新品と再使用品では,締め付けトルクが違う。

これは新品だとガスケットの潰れる割合が大きく,再使用品ではガスケットが一度圧縮されているので,潰れる割合が少ないため。

恐らく取説の内容は,「新品は1/2程度,再使用時は1/4程度締付け」という事ではないかと思う。

感覚で締める場合は,「NGKプラグスタジオ」の「プラグの取り付け方」が参考になると思う。

「商品情報」 → 「プラグの基礎知識」 → 「プラグの取り付け方」へと進む。

ネジの締め付け感覚に自信がない人は,トルクレンチの購入かプロに整備を依頼した方がいい。

プラグコードを目視点検

ついでなので,プラグコードも点検しておこう。

高電圧が通過するので,少しでも亀裂などがあるとリーク(漏電)の原因になる。しっかりと目視点検すること。

強く曲げたりすると,その部分が傷むため取り扱いに注意する。

プラグキャップ内部に水分があるとリークの原因になる。その場合は,エアーダスターで清掃しよう。

プラグキャップを取り付け

プラグキャップの取り付け。

このように,サービスホールから指で押すと付けやすい。

プラグの点検作業,完了!

サービスホールのフタをしてトップカウルを付けて完成!

海に出る前に必ず試運転を行うこと! 点火系の整備ミスは致命的なトラブルを招きます!

慣れればそんなに難しい作業ではないが,油断しないで慎重な作業を心がけましょう。

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